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ヨイヤミの皆は警察の人が話を聞くとかなんとかで、松野くんたちは病院へ。
私は軽症だから、比江島くんと寮におろされた。
比江島くんは父に話があるというから、先に部屋へ戻ることに。
喜八さんに何事もなかったように、ただいまを言って、ベッドに座った。
色々な情報が頭の中に飛びかう。
1個1個、書き出さないと整理がつかないほどに。
頭を抱えれば、
「凛」
何度も聞いた声に呼応するように、私の体が跳ねる。
顔を上げると、私の知る眼鏡をした比江島くんがいた。
なのに、何を話していいか分からない。
今まで、追われていた男の子のキャラを真似て私と過ごしていたんだもの。
黙り込み、うつむく私のそばに、比江島くんがしゃがんだ。
「……本当に痛いとこない?」
「ない」
「そっか」
なんか、知らない比江島くんと話してるみたい。
沈黙がおとずれる中、比江島くんは私の手を握った。
「……ごめん」
「何で謝るの。計画のせいでしょ」
「それは、そうなんだけど。でも……途中から、素で話せないのが苦しかったんだ」
苦しかった?ああ……
「成りきるのも大変だもんね」
「そうじゃなくて」



