わけありくんを護ります



それから──総長同士の戦いになって、私たちはぼろぼろの姿のまま床に座り、その攻防を見つめていた。

「そのパーカー、肩にでも縫われてんの?ちゃんと着なよ」

「いやだ、ねっ」

鶴谷が攻めまくるスタイルに対し、比江島くんは守備にてっしてる。

「キミこそ、反撃したらどうだい!」

「したくなったらするよ」


最初は余裕があった鶴谷。
だけど、途中から肩にかけていたパーカーを床に投げ捨て、当たらない攻撃をし続けた。

でも……1枚も2枚も、比江島くんが上手で。
全て攻撃を受け流される鶴谷は遊ばれているようだった。

そして、長く感じた攻防は、比江島くんの急な反撃によって、わずか5分足らずで比江島くんの圧勝で終わり、

ヨイヤミと強瀾の決着がついた──








決着がついたのに、私たちはあいた口が塞がらない状況。


「はぁー……良かったー。怪我してなくて」

鶴谷が起きてこないのを見て、比江島くんは髪を上げ、唖然とする私のもとへ来てしゃがんだ。

「どっか痛いとこない?」

眼鏡なしで、オールバック……敬語なし、プラス強い。って私の知る比江島くんはいずこへ?

「……おーい?聞いてる?」

「ちょっと待って今混乱してるから話しかけないで」

「早口っ。それは俺のことで?」
「そ、そう」

「ははっ、嬉しいな」

あ、ダメだ。話すと余計混乱してくる。