わけありくんを護ります



──松野くんから居場所を教えてもらった日に調べたけど……ヨイヤミの根城は、どうやらつぶれた劇場のようで。

その劇場の手前にあるコンビニで、私たちは待ち合わせをしている。
はやく出たのに、すでに3人は揃っていた。

「……お、りんりん来た!」

「よし」

「凛ちゃん、大丈夫そう?」

「竹森くんこそ、胃は大丈夫?」

「……今のところはなんとか」

尋ねると、竹森くんはお腹をさすって苦笑いをする。

「行くぞ」

「あいあいさ」


劇場までの道中、これからのことを考えると、ろくに会話はできないと思ったのに、意外にもいつも通りで……お重の話や宿題のグチを色々と話し合いながら向かった。



「──ここだ」

ワンテンポ3人から足を止めるのが遅れるも、根城である劇場を見上げる。

「案外きれいなんだね?」

建物自体はちょっとすすけたりはしてるけど、もう使われてないなんて、見た目からじゃ分からないくらい。

「バーカ。中は連中のせいで荒れてるだろうよ」

「あはっ、そりゃそうだよね!でもぼく、アドレナリン出てきたかも!」

梅木くんはエアーボクシングをしてやる気を見せてくる。袖から……手、出てないけど。