比江島くんに鍵をあけてもらい、机に鞄を置いてすぐ、私は封筒をあけた。
中には四つ折りにされた小さな手紙が入っていて、ためらいながらも広げていく。
──っ!!
【ヨイヤミは気をつけろ】
紙の真ん中に、薄いも字でそう書いてあった。
驚いて比江島くんを見れば、線の向こうでソワソワとしてこちらを見ている。
「なんて、書いてあるんですか?……まさかラブレターとかじゃ……」
「なわけないでしょ」
なんで、ラブレターって発想なの。
「で、ですよね。ならなんて?」
「まあ……助言?かな」
私は紙を四つ折りに戻し封筒へ戻した。
「え?助言?俺も見たいです」
「イヤ」
「ケチ」
「私宛てだもの」
ちょっとだけ、とダダをこねはじめる比江島くんを横目に、私は部屋の外へ出てドアに背中を預けた。
「……気をつけろ、か」



