わけありくんを護ります


「教えて」

松野くんが私をつかんでくる手を、無理くりはがしながら再度お願いする。

きっと私が今向けてる目は、今まで彼らに向けたことのないような目……
殺気にも取れるような、そんな圧をふくんでいる。
それに松野くんは一瞬、目を見開くもすぐに眉を寄せた。

「……1人で行くつもりか」
「もちろん」

もうここまで来たら、ヨイヤミの場所を聞くまで帰らないんだから。

松野くんに負けじとにらみをきかせれば、ものすごく長いため息がつかれ、私からも手を離した。

「……分かった。だけど数日待て」

「お!元総長マツくんのお許しが出た!」
「元は余計だ。……いいか芝桜。俺らも一緒に行く。1人で勝手なことをしないって約束するなら、ヨイヤミの場所は教えてやる」

「松野くん……分かった」

ヨイヤミが強いというなかで、戦力が増えるにこしたことはない。このメンツならなおさら。

「ん」
「……え?」

そう思ってれば、松野くんが私の前に小指をたてた。すると、梅木くんがふきだした。

「ぐふふっ!マツくんはね、約束って女の子 みたいにちゃんとするタイプなの。顔怖いのにっあは!」
「うるせぇぞ!ブン!」

「まあ落ち着いてよ、マツ」