わけありくんを護ります



見せられた紙には、私たちがリスニングで聞いた時と同じ言葉が書かれていて、

その下には、


【シバザクラサント】

【ヒエジマユズキクンニモヨロシク】


私たちの名前が付け足されていた。
こりゃ呼ばれるのも当然だ。
この空気と目の違和感にも納得がいく。


「……俺の下駄箱に入ってたんだ。多分俺らの中なら誰でも良かったんだと思うけど」

竹森くんの──強瀾のトップなら誰でも良かったってことなのかな。

「この紙が、ヨイヤミからだってことはもう分かってる。だけど……何でここに、お前らの名前が出てきてるんだよ」

誰も座ることなく、空気が重くなっていくのを感じながら、私は紙から顔を上げた。

もう、言うしかない──


「私は……」
「凛さんっ」

そんな困った顔しないでよ、比江島くん。
大丈夫だから。


「私は、この比江島柚希くんの──ボディーガードなの」

「ボディーガード?女の子の凛ちゃんが?」

頷けば、目を丸くする竹森くんは、信じられないといった表情になる。松野くんも梅木くんも同じく。

「その経緯も話すから、1度座ってもらえる?」