「……女がここで何してんの?」
──!?
私の頭上、壁の上から現れたフード姿の男の子。
見上げれても、顔は暗くて見えなかったけど。
──まさか5人目?
ふわり、と高い壁から飛び降りた彼に、何故か一変して怖じ気付く4人のヤンキー。
確かに、見た目だけでただ者ではない雰囲気がヒシヒシと伝わってくる。
彼が立ち上がると、汗を滲ませ半笑いで後退るも、4人は秒でのされた。
瞬く間にパンチ一撃だけで地べたに横たわった4人に、息を一切乱さずにいる彼。
なにこれ。
今の今まで緊迫とした状況が、呆気ない幕切れとなり、肩の力が抜けていく。
この4人とは違って……いい人?
振り向くことなくそのまま行こうとする彼に、私はお礼を口にしようとした。
「ありが──」
「勘違いしないでもらえる?通行の邪魔なだけ」
だけど肩越しに返されたのは、意外と冷たい言葉だった。



