わけありくんを護ります




【ヨォ】


──!!

「っ!?」


英文ではなく、耳に入ってきたノイズまじりの声に、瞬時に目だけで周りを確認したけど、私と比江島くん以外にはちゃんと英文が流れているようで。

この異変に先生やヤンキーくん達に気づかれないよう、隣で青ざめ、マウスにかぶせてある手がふるえている比江島くん手を、私はとった。

"落ち着いて"そう伝えるように。

本人は小きざみに頷くだけ。
不意のことでも、声を出さなかっただけ及第点よ。


【イイカイ?アンナノ、タダノコテシラベ】

【ヤミノパーカーミニツケタ、ゲストモヨブヨ】

【ミンナデ、タノシミニシテルカラ】


ブツッ、と接続が切られた音がして、何事もなかったように英文が流れてきた。


……なんだか、架空の世界から帰ってきた気分。