わけありくんを護ります


不敵な笑みが4人分。

逃げ場のない自分が1人。

1ミリでも距離を取りたい、壁に当たった背を壁に擦る。
制服が汚れるなんて、今は気にしていられない。

だけど、私の後ろはコンクリート。距離を取るどころか縮まるばかり。


「それ以上来ないで」


──私の方が強いから。初日から荒事はごめんなの。

そう思ってる間にも4人の姿が大きくなってきて、私は抱いていた鞄を投げた。


「おっとー」
「強気かわいー」

でも誰に当たることもなく軽々と避けられてしまった。

来るなという威嚇(いかく)にもならない。
むしろ調子に乗せただけだ……

左右を確認しても、ちょっとした武器になりそうな物は何もない。


ただ好きにされるくらいなら、急所でもついてワンチャン狙っていくしか──ない!!

誰からでもいい、
最初に私に触ろうとした奴から片付けてやる。

4人に追い詰められたからって、簡単には行かせないッ……!!


決心と同時に難癖ヤンキーの手が伸びてきて、

かかってこい、そう思った刹那(せつな)──私たちに影がかかり……