気絶したのを確認して、学ランを拾い上げる。
そして、たい焼き屋の前に座り込んでいた比江島くんのもとへ歩み寄った。
「り、凛さ……」
「あーあ……見てよこれ」
私はフェイクに使った学ランを広げた。
バットの先端のせいで、学ランに貫通ダメージ。背中に大きな穴が空いてしまった。
「これは縫わないとワイシャツ丸見えになっちゃうね」
空いた穴から比江島くんを見てけらけらと笑い、学ランを片手に比江島くんへと手をのばす。
ああ……
何度みたかな、泣きそうな顔の彼を──
「立てる?」
「は、はい……」
ぐっと引っ張って立たせてあげれば、
「っ……!」
比江島くんが抱きついてきて──
「ちょっ、ちょっと……」
「怪我……しなくて良かった、です」
それはこっちのセリフ。
「でもね比江島くん」
「なんですか」
「謝らないといけないことがあるの」
「謝らないといけないこと?」
うん、と私が腕の中で頷けば、少し離れて比江島くんは私の顔を見た。



