イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 さっきまで、ちゃんと伝えられるか不安ばかりだった。

 好きだって言ってもらえたのに。

 けれど、今伝えなきゃダメだって思ったら、すぐに口から出てきた。

 彼は、どう返してくれるだろうか。


「あぁ、ずっと一緒にいる」

「っ……」


 この人は……私の欲しい言葉ばかりくれる。本当に、これでいいのかな。

 ……と、思っていた時だった。

 いきなり離されたと思ったら立ち上がり私を持ち上げて抱えてきた。

 そして、歩き出して玄関を出た。


「事情聴取は明日だ」

「はいっ」


 部下のような人にそう伝えつつもそのまま一階に降りる階段の方に。
 
 そ、そっか、事情聴取か……さっきのコンビニでの事情聴取もあったっけ……

 でも……


「いいんですか?」

「ん? 俺には仕事が残ってるからな」


 し、仕事?


「高木瑠奈、失踪に浮気にその他諸々の容疑で逮捕だ」

「……えぇえ!?」


 た、逮捕!? 失踪に、浮気!?


「これからウチの方でお仕置きだ。もし抵抗するのであれば公務執行妨害罪も追加されるぞ」


 お、お仕置き……!? 湊さんの家で……?

 わ、私、これからどうなっちゃうの……?


「お仕置きを延長されたくないのであれば、大人しく連行される事をお勧めする」

「……はい」


 い、一体どんなお仕置きが待ってるんだろう……お、恐ろしい。


 ――嘘から始まった私達の関係。


「黙秘も嘘も禁止だからな」

「嘘なんて言いませんよ……!」

「ならいい」


 ――偽りを本物に。


 今までの3ヶ月間。ずっと、嘘をついてしまっているという気持ちで苦しかった。とてもいい人達ばかりだったから、余計苦しかった。

 湊さんへの気持ちも、この関係は3ヶ月で終わるのだからと蓋をしてきた。

 けれど、そんな事はもうしなくていい。

 苦難は待っていると分かっているけれど、湊さんと一緒であれば怖いものなしだ!

 しいていえば、真紀ちゃんになんて言えばいいか、くらい?

 だから、大丈夫だよね。


「あの、湊さん、お手柔らかに……」

「それはお前の態度次第だ」


 ……湊さんのいじわる。


 END.