イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 湊さんが見せてきた写真。真紀ちゃんの隣にいる男性は……湊さんだろうか。うん、湊さん、だと、思う。真紀ちゃんを見るに、きっと彼女が中学の時の写真だろう。湊さん、金髪でピアスバチバチだな。


「真紀と似てないって? 俺は父親似でアイツは母親似だからな。だけど、何回か会った事あるぞ。お前らで映画見に行くからって車で送迎までしてやったのに、忘れるなんて薄情なやつだな」


 待て待て待て、まずは脳内の古い記憶を呼び起こせ。真紀ちゃんとは中学に入学した頃からの同級生の友達だった。高校を卒業してから自然と会わなくなってしまったけれど……


「……ピアス、バチバチですね」

「そうだな。模範的な学生でもなかったし」

「……なるほど」


 そういえば、湊さんの耳にピアス穴いくつも開いてるなと思った時があった。そういう事か。

 そんな人が、エリート警視になったと。だいぶ驚きである。


「お見合いの時にお前だって分かったのは、知っていたからだ。それにお前は友達思いだという事も、どの大学に行ったのかも真紀の話で知っていたしな。本物のお見合い相手も同じ大学に通っていると気づいていたから、友達なんじゃないかと予測しただけだ」

「さすが、エリート警視ですね」

「そろそろそれやめろ」

「……はい」


 エリート警視な事が嫌なのか。凄い事なんだと思うけれど。

 どうして私だと見破ったのか気にはなっていたけれど、そういう事だったのか。じゃあ、すき焼きでねぎが好きだったことも、真紀ちゃんの家ですき焼きを食べさせてもらった時に知ったのか。


「中学の頃から知っていたが……お前、変わったな」

「え?」

「綺麗になった」

「……」


 今、また爆弾発言が投下された?