「だが、警察官にもかかわらず俺の勝手でずっと嘘を吐いていた。お前にも嘘を吐かさせていた。これでは警察官失格だ」
私達が吐いていた嘘。それは、私がアルバイトで恋人役を演じていた、という事。確かに、同僚さん達、そしてあの萩本警視長にまで嘘を吐いていた。
「なら、嘘を本物にしてしまえば、吐いたことにはならない」
「えっ……」
「嘘だらけだったこの関係を、本物にしたいんだ。ダメか?」
あのお見合いの日から始まった、3ヶ月間の嘘。これを、本物にしたい。それは、本物の恋人関係を築きたいという事。
そんな事をして、いいのだろうか。
「もっと、瑠奈の近くにいたい」
「……」
「もっと、独占したい。そして、俺が瑠奈を守りたい」
「……」
そう言ってくる、という事は……守る存在は、私だと、いう事でいいのだろうか。
そう、期待してもいいのだろうか。でも、私を見るその顔は、そうだと言っているように感じる。
「……どうして、ですか?」
「……」
「私達……3ヶ月ですよね。会って」
そう、出会ってから3ヶ月しか経ってない。会う頻度は多かったけれど、この人は私の事をよく知らないし、私も知らない事は沢山あるはずだ。
「……まだ気付かないのか」
「え?」
気付かない、とは一体どういうことなのだろうか。何か、見落としている事でもあっただろうか。
そう思っていると、ポケットからスマホを出し操作し出した。そして、画面を向けてくる。映っているのは、写真だろうか。男女二人が映っていて……その内の女性、いや、女子は私のよく知る人物だった。
「……真紀ちゃん?」
「俺の妹」
「……マジ?」
つい、そんな言葉が出てしまった。



