隣に湊さんがいる事を分かっていながらも、聞きたかった。こんな汚れた家族だという事は、もうバレバレなのだから今更だ。そう開き直ってる自分がいる。
「あっ当たり前じゃない! 貴方は、私がお腹を痛めて産んだ大切な宝物よ!」
「ただの使い勝手のいいATM、じゃなくて?」
「っ!?」
私の口からこんな事が出てこないと思っていたのか、彼女は目を見張った。
「ここに来たって事は、私の通帳がすっからかんだった事に疑問を持ったからでしょ。もう一つ口座を作ってそっちをメインにしたに違いない。そして、早瀬さんから聞いた、お金持ちの話。もう一つの口座に大金が入ってるんじゃって思ったんでしょ」
「っ……」
「あの2500万、まさか使い切ったわけじゃないよね?」
さも図星と言っているような焦りを見せた。まさかあんな大金を3ヶ月で使い切ってしまったなんて信じられない。むしろ何に使えばそんな大金が消えるのか聞きたいくらいだ。もしかして、詐欺にでもあったとか?
「2500万なんて、詐欺にでもあわない限り3ヶ月で使い切れないよね。ちょうどここに警察官がいらっしゃるから、相談してみたらどう?」
「け……警察官っ!?」
湊さんを巻き込んでしまって申し訳ないけれど、ここまでしなければ出ていってくれない。湊さんが帰ったところで私に口座を聞き出しキャッシュカードをもらって暗唱番号でも聞き出すつもりでいる事は分かり切ってるのだから。
「あっ、そ、そんな事ないわよ! 私、用事を思い出したから帰るわね!」
そう言いつつ、逃げるかのようにそそくさと廊下に出ては帰っていってしまった。
あの人の帰る場所は、ここではないのね。
「あの、お見苦しいところをお見せしてしまってすみません」
「……」
「家まで送ってくださってありがとうございました。ではお気をつけて」
笑顔のつもりではあったけれど、自信がなく彼の肩を掴んで腕を押し、後ろを向かせ背中を押した。今の私の顔は、見てほしくなかったから。
早くここを出てほしい、一人になりたい……
私の家庭がこんなに汚れ切っている事を、彼に知られてしまい恥ずかしく思ってしまった。



