イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 アルバイトが終わりを告げた。3ヶ月という期間ではあったが、長かったような、短かったような。いや、自分では短かったように感じる。

 ただ、アルバイトが終わっただけ。まだ借金は残っているけれど、それ以外は今までと同じ日常が戻ってきたはずなのに、何故だか気が沈んでしまっている。どうしてだろうか。

 あれから、アルバイト終了という事でカフェで話をしていたけれど、彼が途中で呼び出されてしまった。結局、その後電話で確認を取り完全にアルバイトが終了となった。

 お給料の振り込みをされていることは確認出来た。そして、今まで預かっていた支給品は貰ってくれと言われた。

 じゃあ湊さんの腕時計は、と聞いたけれどそれも返さないでいいとのことだった。今まで使っていた腕時計なのにいいのだろうか、と思いつつも、ひったくりの時の件を思い出し何も言えなかった。

 そして最後に。


『また会わないか? この前途中で抜けたお詫びをさせてくれ』

「いえ、それは気にしないでください」

『いや、だが……』

「あの、アルバイトの件ではもう何もないですよね?」

『あぁ、もうそれに関する事は何もない』


 電話でその言葉を聞き、やんわりとお断りしてからすぐに電話を切ったのだ。

 仕事に私情を挟んでしまった私が悪い。それは、十分に分かってる。そのせいで、本気ではないだろうけれど、彼に警察官を辞めるという言葉を言わせてしまった。

 だから、もう私は関わらないほうがいい。そう、思っていての行動だった。

 けれど、何故かまだ私のスマホには彼の文字が表示される事が何度もある。私に、電話をかけてくるのだ。

 もう、アルバイトは終わったはずだ。それなのに、どうして電話をかけてくるのだろうか。

 もし何かあればメッセージで送ればいいのに。そう思い、電話に出られなかった。