さすが警察官さん達だ。どんどん鍋からお肉が消えていく。食べっぷりがいいな。しかも、美味しそうに食べているから作った甲斐がある。手伝うくらいしかしていないけれど、嬉しいな。
お肉が消えていくと同時に、どんどんお酒も進む。持ってきたのは結構多かったけれど、この勢いでは全て飲んでしまうのではないかという勢いだ。まぁ、私もビールをもらってしまっているけれど。
「な~ぁ~湊、今日泊まっていいか? 帰るのめんどい」
「は? 駄目に決まってるだろ」
ズバッと言いますな、湊さんよ。けれど、そう言われると分かっていたかのように「だよなぁ~」と。
「湊、誰か泊めるの嫌いだしな。寝室に入られるのはもっと嫌いだし、ベッド使おうとしたら大激怒だ。お~怖い怖い」
「分かってるなら言うな」
へぇ、そうなんだ。でも、おかしいな。以前ここに来た時、泊まるか? って聞かれた気がする。どっちでもいいって言ってきたけれど、あれも冗談の内だったのだろうか。
それに、思い出した。そういえば早瀬さん、飲み会で酔っぱらって湊さんに介抱された時ここのベッド使わせてもらったって言ってたっけ。
それを思い出し、ふと、早瀬さんの方に視線を送ってしまった。すると、にっこりと私に顔を向けてきていた。一体何を思ってその笑顔を見せてくるのだろうか。
そんな時、湊さんのスマホが鳴り出した。ちょっと行ってくる、とスマホを片手に席を立った。きっと、仕事の電話なのだろう。さすが警視だ。けれど、お仕事お疲れ様です。
「瑠奈ちゃん大丈夫?」
「え?」
「お水飲んだら?」
キッチンから帰ってきた海さんから、グラスを渡された。お水を持ってきてくれたらしい。持ってきてくれたビールを勧められて、今は2杯目だ。
それを見かねて水を持ってきてくれたらしい。しっかり者の海さんは本当に頼れるお姉さんだ。……と、思っていた私は馬鹿だっただろうか。
「んっ!?」
何も考えずにグラスの中の飲み物を飲んでしまった。けれど、水でないことがすぐに分かり危うくむせるところだった。これは水ではなく、焼酎だ。
ニヤニヤこちらを見てくる海さんに図られたという事か。やられた。ちゃんと匂いを確認していれば未然に防げたのに。
「瑠奈ちゃんって酔うとどうなるの? 襲っちゃったり?」
「いえ、そんなことしませんよ」
「そう? じゃあキス魔?」
「違いますっ」
海さんはいたずら好きだという事か。しっかり者だと思っていたのに。
とりあえず、逃げよう。そう思い席を立ってトイレに向かった。



