イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 そうこうしている内に時間が経ち、音がリビングに響いた。呼び出し音らしい。ここはオートロック式のマンションだからセキュリティーはしっかりしている。流石警察官の住むところは違うな。

 そして、数分後に同僚さん達が湊さんの家に辿り着いた。


「わ~瑠奈ちゃん久しぶり!」

「こんばんは」


 早瀬さんと、他二人がリビングに。海さんと野木さんの姿がなかった。

 皆さん慣れているようで荷物を置き洗面所に向かい手を洗いに行った。5人、と言っていたけれど来たのは3人。となると、海さん達は遅れているのかもしれない。


「おい、酒は持ってくるなって言ったろ」

「飲まなきゃやってらんないだろ」


 冷蔵庫借りるぞ~、と袋を手にキッチンへ入ってきた。袋を見るに、結構買ってきたようだ。缶や瓶の音が聞こえる。


「やった、すき焼き! 湊君ありがと!」


 冷蔵庫にお酒を収めるとくつろぎだす同僚さん。そしてキッチンに入ってくる早瀬さん。本当に慣れていらっしゃる。何回か来たことがあるからそうなるか。

 湊さんは、近寄ってきた早瀬さんに「邪魔だ」と追い払ってしまった。そこまで言わなくてもいいのでは、とも思ったけれど……私は何も言わないことにした。以前の飲み会の事があるからだ。

 今回は、何事もないように祈っておこう。