湊さんは、リビングに荷物を置き洗面所に消えていった。手を洗ってくるらしい。
さて、それでは私は帰り支度を……
「食ってくか?」
「えっ?」
「腹、減っただろ。待たせたお詫びと言っては何だが、食ってけ」
と、戻ってきていた湊さんはそのままキッチンに向かっていった。冷凍うどんでいいか、と言われたので同じくキッチンに向かうと、冷凍庫を開けた湊さんが視界に入った。
冷凍庫の中には、結構多く入っているようだ。けれど……作り置きだろうか。料理をするらしいから、作れる時に一気に作る、と言ったところか。と言っても、うどんはさすがに作り物ではないらしい。
「あっ、私、手伝います!」
「言ったろ、お詫びって」
「私寝ちゃいましたし、待たせちゃいましたし、なので何かやらせてください!」
「そうか。じゃあ……」
と、クッキングが始まったのだ。と言っても、初めてのキッチンなので勝手が分からず、そこに入っている菜箸を取ってくれ、くらいしか手伝えなかった。
対する湊さんはというと……慣れた手さばきでねぎを切り、と素晴らしい手作業につい見入ってしまった。
簡単に出来てしまったシンプルなうどんは、私が居眠りしてしまっていたテーブルに並べられた。そして、二人揃って「いただきます」と食べ始めたのだ。
「どうだ」
「お、美味しいです……!」
一応私も料理をするけれど、ここまで美味しく作れるだろうか。警察官としても優秀で、料理も上手とは……レベルが高すぎる。
あればかまぼこも乗せたいところだな、と言っているけれど……もう十分美味しいです。



