イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 目が覚めた。大きな、着信音が耳に入ってきたからだ。

 ……目が覚めた?

 そして、着信音?

 一気にサァァ……と寒気がし、勢いよく電話に出た。


「申し訳ございませんでしたっ!!」

『さっさと開けろ』

「かしこまりましたっ!!」


 玄関に走って、解錠し、ドアを勢いよく開けたのだ。そこには、不機嫌顔を浮かべる湊さん。

 あっ、絶対怒られるやつだ。と、覚悟を決めたのに。


「ドアを開けるなら最初に誰が来たか確認しろ」

「あ、はい……」


 と、私を押して部屋に入ってきたのだ。

 冷ややかな視線は、なかった。


「悪い、遅くなって」

「あ、いえ、すみません、寝ちゃって……」

「だろうなと予測は付いてた」


 今何時だろう、と思いつつ二人でリビングに。壁掛けの時計を見ると……時刻は21時20分を指していた。

 確か、20時になると言っていたような気がする。


「……私、一時間以上、待たせちゃいました……?」

「いや、たったの5分だ」


 ……マジか。じゃあ、この時間になるまで仕事して戻ってきたという事か。大変だな、警視さんも。