イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。

 そして、二人でトイレに向かい個室に分かれる。個室から出て手を洗うと、ちょうど早瀬さんも出てきて私に並んだ。


「瑠奈ちゃん、湊君と付き合ったの最近だっけ?」

「あ、はい」

「実はね、湊君に彼女が出来たって同僚が聞いてから一気にその噂広がったんだよ~。だって、今までそんな事全くなかったしぃ」

「へぇ……」

「それより、同僚達と集まる事が多かったかな? 今日のメンバーが多いかも。みんなお酒は好きだけど、帰る時運転手は代行にしないといけないでしょ? だから、下戸の湊君がいてくれるから安心して飲めるのよねぇ〜。ほら、私たち警察官が飲酒運転なんて笑えないでしょ~? あははっ!」


 うん、確かに笑えない。ニュースになるんじゃないかな。たまにそういうニュース見かけるかも。笑い事じゃない。


「湊君優しいから私達の事看病してくれるんだよ? この前だって私飲みすぎちゃって~、ちょっと迷惑かけちゃったかなって思ってるの〜。湊くんちのベッドも使わせてもらっちゃって、悪かったな~」

「へぇ~。じゃあ今日は飲みすぎないようにセーブしないといけませんね。明日は仕事ですか?」


 ベッド……じゃあ、家に連れて帰ったって事か。確かに優しいところがあるし……でも、さっき湊さん眉間にしわ寄せてたし、私に恋人役任せるくらいだし、どうなんだろう?


「そうねぇ、仕事かな。だから二日酔いにならないように気をつけなくっちゃ。でも、湊君料理上手でしょ? 次の日に作ってくれた味噌汁、よ~く効いたんだよね~、また飲みたいな~。お願いしたらまた(・・)、作ってくれるかな?」

「へぇ~」


 料理はするって言ってたけど、味噌汁美味しいんだ……ちょっと気になるかもしれない。二日酔いに効く味噌汁。けれど、また、にだいぶ力は入ってた気がする。という事は、また酔っぱらって湊さんの家に行く事になるって事だよね?

 とはいえ、私はしょせんアルバイト。だから私が何か言う事はない。