イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。

 見たところ、皆さん結構仲がいいようだし、パワフルだ。警察官だから?


「お前そこどけ」

「なになに、矢野は彼女の隣がいいって?」

「何とでも言え。瑠奈に飲ませようとしてるのは分かってるからな」

「瑠奈ちゃん瑠奈ちゃん、何飲む~? 焼酎いく?」

「言ってるそばから。黙れ酒豪」


 こっち、と用意された席に落ち着いた。もちろん湊さんの隣だ。だいぶ圧倒されてはいるけれど、隣に知っている方がいるから何とか頑張れそうだ。


「何がいい」

「え? あ、ビールで」

「瑠奈ちゃん瑠奈ちゃん、芋焼酎美味しいよ」

「ビール一つと麦茶一つ」

「ちょっと矢野! 邪魔しないで」

「邪魔してるのはそっちだ」
 

 私の方が邪魔してません? と、言いたいところではあったが、その後の私への質問に彼は全て「煩い」で払いのけてしまうから私は何も言えなかった。

 飲み物が行き渡り……というか先に来ていた方にはもうあったけれど。そして乾杯の合図と共にグラスを軽くぶつけた。

 うん、ちゃんとビールの味がする。緊張で喉が通らないとか味が分からないとかはなくてよかった。