イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。

「お疲れ」

「お疲れ様です。あの、カフェの前でもいいって言った気がするんですけど……」

「いや、大学前で拾った方が効率がいいと思っただけだ。そっちは友達か?」

「えぇと……友達の、清水琳、です」


 その言葉で、あぁなるほどと理解したような視線をこちらに向けてきた。そうです、お見合い相手だった人です。

 そして本人はというと……


「じゃ、頑張ってきてね~」

「えっ」


 紹介したのに自分からは名乗らず、さも邪魔者はすぐに退散しますよと言わんばかりのグッドサインを見せつけ行ってしまった。

 おい、失礼にもほどがあるぞ。と、言いたいところだが……


「なるほど、理解した」

「すみません」

「いや、いい。あの子のおかげで助かったしな」


 そう言いつつ助手席のドアを開けてくれた。乗れ、と。デートの時も思ったけれど、何とも紳士な方である。

 ありがとうございます、と乗りシートベルトをした。ちゃんとシートベルトしないと捕まっちゃう。あっ、もうすでに隣にいらっしゃるな、警察官が。気を付けよう。

 それはさておき、これから他の警察官さん達に会うとなると、心臓バクバクである。まぁでも、稼がせていただくのだからちゃんと仕事はやらなきゃ。