イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 買い物にきりがつき、ちょうどいい時間だったのでお昼にすることになった。

 行き先は、とあるカフェだ。とてもおしゃれな外観で、内観もおしゃれで若いお客さんで賑わっていた。いわゆる、映えというものだろうか。

 私達は空いている席に落ち着き、メニューを開いた。


「食べられないものは?」

「え?」

「好き嫌いは知っておいた方がいいだろ」


 そっか、付き合ってるのに知らないの? と言われたら答えられないし。


「アレルギーとか、食べられないものはありません。けど、生の玉ねぎと、辛いものが苦手です。あ、でも頑張れば食べられます」

「そうか。俺は……」


 目の前で考え込む彼をじっと見た。あまりないのかな。

 けれど、意外な返答だった。


「……ほうれん草」

「分かりました。じゃあ、好きな食べ物、聞いてもいいですか?」

「いちごだな。そっちは?」

「桃と……バニラアイスが好きです」

「分かった」


 結構意外だった。嫌いな食べ物がほうれん草で、好きな食べ物がいちご。そう見えないから少し驚いている。けれど、人それぞれだしおかしな事じゃない。

 ちゃんと覚えておこう、と思いつつメニューを眺めた。種類が豊富で美味しそうな料理が並んでいて決め難いな。悩みつつも、バニラアイスの乗ったフレンチトーストにすることにした。彼は、エッグベネディクト。飲み物は、私はラテで彼はブラックコーヒー。

 ブラックコーヒーは飲めるのか? と聞かれてNOと答えた。残念ながら私はブラックコーヒーを優雅に飲める大人ではない。甘党なものでね。でも、彼は見た感じブラックコーヒーが似合いそうだ。