イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 そうこうしている内に、車が停まった。駐車場に停めたようで、洋服店が見えた。


「支給品」

「……なるほど」


 私の洋服を買うらしい。中に入ると、とても綺麗な洋服を身に付けたマネキンに出迎えられた。他にも、たくさんの洋服が陳列されている。

 きっと、私のこの地味な服が酷すぎると思ったから連れてきたのだと思う。すみません、無駄な出費をさせてしまって。と心の中で謝っておいた。


「何色が好きだ?」

「えっ、あの、お好きなように……」

「おい、アルバイト」

「……水色、ですかね」

「スカートとパンツどっちがいい」

「……丈の長い、スカートで」


 おい、アルバイト。なんとも恐ろしい言葉だ。でも確かに、好きな色の服の方が着やすくて恋人役に専念出来そうでもある。

 彼が引っ張り出した服を押し付けられ、試着室に連れていかれ、押し込められた。


「次のデート用に、飲み会用も必要だな」

「そう、ですか……」


 そんなにいるだろうか。まぁ、同僚さん達と会う時に一緒の服だと怪しまれちゃうのもあるか。そう思いつつ、着替えた。

 元々貧乏だったから、こういった綺麗な服は着た事がない。しいて言うなら……学生時代の、新品の制服?

 そして、試着室の大きな鏡を見てみた。……着せられてる感が、あるような、ないような。けれど、スカートをなびかせてみると、とても綺麗だ。