「……マジ?」

「相手は警察官だし、凄い金額だし。別に大丈夫でしょ」

「あ、うん、まぁ……自分で闇バイトには気を付けろって言ってたみたいだし……でも、他の警察官に会う事にもなるんでしょ? 大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫、借金払えれば」

「……あえて聞かなかったけど、一体いくらよ、その借金」

「500万」


 社長令嬢である琳としてはそんなに大金ではないだろうけれど、貧乏な私からすると、これは大金である。


「……まぁ、足しにはなるだろうけれど……私、貸そうか?」


 彼女のその言葉を聞いた瞬間、私は動きを止めた。そして、琳を見つめる。その視線で、彼女は顔を強張らせた。私が言いたいことを、理解したらしい。


「……私がそれ嫌いなの、知ってるでしょ」

「でも、私に返してくれればいいだけだし……」

「もう言わないで」

「……」


 私は、琳にお金を貸してもらったりするのが嫌いだ。

 私がお金の為に琳と友達になった、と思われたくないからだ。

 私達は、それは抜きで友達になった。そもそも、最初は知らなかったし。だから、お金持ちのの琳にたかるため、お金を貸してもらうために付き合ってる、そう思われてしまうのは絶対に嫌だ。

 まぁ、アルバイトの件は、彼女が困っていたからギリギリセーフだと思うけれど。


「借金は私の問題なんだから。琳は関係ないでしょ」

「あ、うん、まぁ、そうだろうけど……でも、私は瑠奈の親友だからね。頼っていい存在なんだから。だからそれは忘れないで」

「……うん、分かった。ありがと」


 けれど、琳は友達思いなところもある。私にも、ずっと優しく接してくれた。だから、そこまで強くは言えない。ありがとう、琳。