イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。


 有名なホテルのフレンチレストラン。

 そこに、スーツを着た若い男性が人を待っていた。


「君が今日のお見合い相手か」

「あ、はい」


 彼が待っていたのは、成人したての大学生。

 彼女はゆっくりと彼の目の前の席に落ち着いた。


「初めまして、清水琳さん」

「あ、はじめま……」

「……の、お友達の高木瑠奈さん」


 少しの沈黙。そして、彼女はスッとスマホを取り出した。ぷるるる、とスマホが鳴り出し、音が止まると女性の声が聞こえてくる。


「……琳、バレても50万くれる?」

『はぁ? 私そんなケチじゃないけど』

「うん、安心した」


 とある貧乏人と、とある警視の物語である。