ずるい人は何があっても自分の非を認めないし、謝ろうとすらもしなかったと思う。
「でも、ボク……嫌われるのが怖くなってちゃんと向き合えなかった」
柚月くん、声が震えてる。
「そんなの誰だって怖いよ。大好きな人だからこそ嫌われて失うのが余計に怖くなるんだと思う」
だから柚月くんは、ずるい人でも、悪い人でもない。
そんな思いで、柚月くんを真っ直ぐ見つめる。
柚月くんは少し大きめのパーカーの袖で涙を拭って息を整える。
「そっかぁ……みんな怖いんだ」
顔を上げてそう言った柚月くんは曖昧にはにかむと、どこか清々しい表情でつぶやいた。
「それじゃあ、ボクもそろそろ前に進まないとね」
私はそのとき、はじめて柚月くんの心からの笑顔を見た気がする。

