気がつくと、生暖かいものが耳元へ流れていた。
なんでボクじゃダメなんだろう。
さっきまであんなに大好きだった弟が一気に憎らしく思えてくる。
ボクだってずっと努力しているのに。
弟はボクより後に生まれたのに、その才能で簡単にボクを追い越していく。
なんで才能だけの弟が評価されてるの?
ボクより年下で努力もしてないあいつが期待されてるの?
強い劣等感に苛まれていたそのとき、控えめに扉をノックする音が聞こえてきた。
「兄様、だいじょうぶですか?」
いきなり出て行ったボクを心配したのだろう弟が扉越しに声をかけてきた。
弟が来たことで、さっきまでの真っ黒な感情がどこかにいってしまったような感覚に襲われる。
なにも気付かれないようになるべく優しそうな声をつくる。

