「……祖父は、あなたに助けて欲しいと言ってました」
「私に?」
「親不孝者の自分だけど、自分の大切なものを守る手伝いをしてほしいと……」
「親不孝なものか!」
そう声を荒らげ、すぐに我に返った統は咳払いをすると、
「……君は、紺の顔を見た事がないのだろう?それなのに何故、君は祖父の言葉だと信じて疑わないんだ?」
と、至極真っ当な問いかけをした。
それに、絃は微笑んで。
「血縁の糸とは縁が浅く、心から信じられるものがない世界で、泣きながら電話してくれた優しいその人を疑うような真似は出来なかっただけですよ」
絃は目元を和らげた。
「でも、今は曽祖父である貴方に会えました。祖父は色々なことを教えてくれたんですよ。育ててくれた養父からは、自分自身の身の守り方を教わりました」
「それが、あの態度、振る舞いってことか?」
相馬の楽しそうな声に、
「油断するでしょ?アホの子相手は」
と、絃は確信犯だと言うように笑う。
「祖父曰く、俺には双子の弟の他に、双子の妹達がいるみたいなんだ。実の父は追われて、俺達をずっと探しているんだって。でも一般人だからね、俺たちに辿り着けなくて……実母は昏睡状態、面倒を見ているのは母の弟と、双子の妹のひとり。もうひとりは父と行動してて、弟は新しい場所で新しい家族と上手くやってた」
「実母の件は」
「ああ、病院とかも教えて貰ってる。叔父さんになら会いに行ったこともあるよ。叔父さん、泣いて抱きしめてくれたし、俺たちが施設に入れられた理由もちゃんと聞いた。母と妹とは会えなかったけど……テレビ見れば会えるし」
「テレビ?」
絃は頷いて、スマホで検索をする。
そして、画面を見せてくれたが、それは数年前から天才子役として名を馳せている、憑依型の女優。
「まだ中学生なんだけど、芸能界で上手くやってるみたい。叔父さんが大切に育ててくれてた」
「─どうして、今、動こうと?沙耶の件?」
「ううん。色々と理由はあるけど、養父が危機感を抱いていた未来が近づいてきたからかな」
「危機感?」
「そう。藤島のおじさん達がね、全部を終わりにしようとしているの。自分達の命を持って、これまでの悪縁を終わりにしようとしている」
「……」
「どうやって、と、思うでしょう?簡単だよ。藤島を無くして、四季の家を全部潰せばいいんだから」
……そのための情報は多く、既に懐に蓄えているということか。
「因みにね、養父は藤島潜入中。それとね、俺、曽祖父との関係とは別に、御園に縁があって。正直、その縁で協力して貰えないかな〜と、今、悪巧みしてる」
「如何なる理由があっても、協力は惜しまんつもりだが……沙耶の件もあるし、この国で不安要素残したくないし、何より、四季が腐っているのは問題だし」
そう。相馬には考えることが多くある。
相馬が抱えるものは多いが、その全てがどんどん腐っている現状は早く、能力フル活用してでも止めたいのが本音。
でもそうすれば、余計な人を巻き込む可能性がある。
だからこそ、相馬は我慢している。─良い子だ。


