「常磐仁は今、何を?」
「海外で根回ししたり、家の仕事したり……?俺は煩わしいの嫌だから、お父さんの後をついて行っているだけだけど。その方が、お父さんの役に立てるしね」
「じゃあ、常磐家の内部についてもよく知って……」
「俺はよく知らないけど、お父さんはよく知っているはずだよ。誰よりも実の父親を恨み、嫌っているし……叔父さん、双子の弟さんを亡くしてからは、特にね、家を潰す方向で動いていたみたいだから」
「潰す……?それをしたら、四季の家が」
「うん。そう。一角が無くなって、崩壊するでしょ。いくら春が残っていればいいからといって、そんなに簡単に他の季節を潰すわけにはいかない。当主に能力がないとしても、その季節の王が存在しない時代なんてありえないんだから、どこかにいるんじゃない?と話したら、少し考える、と、言ってたよ」
「今は?」
「今?今は、常磐家に来ているお客様のお世話が主だよ。本人達は既に気づいているみたいだけどさ、彼女の街の双子がいたでしょ?」
「悠陽と夏陽のことか?」
「そう。彼らはね、第三夫人が産んだ子なんだ」
「……っ」
夏鶴が目を見開いて、沙耶を見る。
沙耶は首を横に振って、相馬を見る。
「彼らがね、今、後継者・冬陽様の元へ遊びに来てるの。冬陽様の教育係である、凌さんや幸さんが推薦したからって……当主も目を瞑っているみたいだよ」
相馬はため息をつきながら、
「いくら調べても、そこら辺の情報は出てこない。ということは、常磐仁が手を回していて……ああ、なるほど、あの双子、いや、後継者含めた三つ子は、常磐仁と第三夫人の子どもってことか」
と、呟く。
「─すごいな、なんでわかったんだ?」
また、皮がひとつ向けたような。
子猫が、猫になったと思ったら。今度は獅子になって。
─きっと、これが常磐絃の本質なのだろう。
「─絃」
同時に、明らかに怒っている綺羽の声が彼を窘める。
「あ、ごめん」
「いや、構わんよ。話しやすい話し方で」
相馬は綺羽に怒られ、分かりやすくシュンとした絃を見て、どこか楽しそうである。


