世界はそれを愛と呼ぶ




「勿論、だからといって、こちらも油断をしているわけじゃない。ちゃんと、見張りがついているよ」

「見張り」

「そう。365日24時間、ずーーーっとね」

「...それがどういう方法でかは、聞かないでおきますね」

陽向が微笑めば、沙耶はニコッと微笑み返してきた。
知りたくないらしい。─気持ちは、よくわかる。

「一網打尽にする気ね、相馬」

「うん。面倒なことは早めに片付けたいから」

「吹っ切れた感じじゃない?この短期間で」

「沙耶に出逢えたから」

「そう。あなたが幸せそうで、私達、嬉しい」

莉華が楽しそうで、幸せそうだ。
義息子の成長が嬉しいのか、はしゃいでいる。

相馬もどこか照れくさそうに、莉華と会話している。
親子の会話としては、まだぎこちない。けど─……。

「─じゃあ、ちゃんと情報あげなきゃね」

ゆったりとした空間に、入る緊張感。
その先を見れば、いるのは、不思議な青年・イト。

鼻歌交じりに、さっきから何をしていたのかと思えば、散らばる楽譜。楽しそうな姿。─この場で作曲?

「あ、これは終わりにするね。─今からはお父さんに頼まれた役目を果たさなくちゃならないし」

スッ、と、彼の纏う空気感が変わる。

「─改めまして、常磐絃です。ちゃんとしないと、お父さんに怒られるから、ちゃんと話しますね。……あ、常磐って名乗っているけど、常磐はお父さんの苗字だから名乗っているだけです。因みに、お父さんとは血縁関係はありません」

「その、お父さんというのは?」

常磐に対して、警戒心が強い夏鶴が問う。

「常磐仁。─調べたことある人なら、知ってると思う。常磐家の現当主、件の一味が第一夫人に産ませた双子の兄の方だよ。双子の弟は病死しているから……」

「常磐仁が、君の養父?」

「そういうこと」

相馬は口を噤んだ。沙耶も、それに倣っている。
恐らく、相馬は予め、同じく口を閉ざしている綺羽達から情報を得ているのだろう。その齟齬がないかの確認だけに務めているような感じだ。

夏鶴はそれを知ってか知らずか、淡々と尋ねていく。

「君はどうして、彼の養子に?」

「えー、確か、施設を飛び出した後、拾ってくれたような?気付いたら、お風呂入った姿で美味しいご飯が目の前にあったんだよね」

そして、その養父に呆れた顔で『才能に溺れ過ぎるな』と、叱られたらしい。