「……沙耶、」
「ん?」
相馬と穏やかな気持ちに浸っていると、莉華さんと話して落ち着いたふたりが罰が悪そうな顔をしていた。
「どうしたの」
優しい声で問えば。
「……俺達はね、沙耶がいなければ死んでた」
「……」
「沙耶が居たから、今、俺達はここにいるの」
買い被りすぎ、私だけの力じゃない。……言いたいことはたくさんあったけど、沙耶はそれを飲み込むことにする。
多分、今、その反応はこの場に相応しくないから。
「だから、君の為に、君達家族のために、この命を捨ててもいいって……でもそれしたら、怒られるかな?」
不安げな冬璃に、沙耶はにっこりと微笑んで。
「勿論。お父さんは激怒するし、お母さんはずっと泣き暮らすでしょうね。私はあなた達を死ぬまで忘れることができなくて、守れなかったことを永遠に後悔するわ」
そんな未来、考えなくてもわかること。
─それを聞くと、冬璃は。
「じゃ、じゃあっ!今度からはちゃんと、沙耶はひとりで抱え込んで消えたりしない?」
でも間違いなく、彼らの無茶な行動は全部沙耶のせい。
沙耶が何も言わずに、何も残さずに、突然居なくなってしまったことは、彼らに大きな傷をつけてしまったんだ。
「しない。約束する」
「……ちゃんと、俺達を使ってくれる?」
「え〜使うって表現は好きじゃないな〜。頼ることにするよ。大切な、あの街の仲間だもん。家族同然のあなたたちをもっと頼って、甘える。それで良いかな?」
誰かに甘えること、誰かを頼ること。
難しいそのやり方を教えてくれた人は、優しく頭を撫でてくれる。
「─じゃあ、早速だけど、ふたりが知っていることを教えてくれる?」
頷いてくれたふたりに心から感謝しつつお願いすると、ふたりは珍しく、とても嬉しそうに微笑んだ。


