三重県は近畿地方の県で県庁所在地は津市。ちなみに津市は日本で一番短い地名である。伊勢神宮だけでなく、日本で一番動物が飼育されている鳥羽水族館、イルミネーションや日本最大級の花と緑のテーマパークであるなばなの里、スペインの街並みが再現された志摩スペイン村など、多くの観光地がある。

てこね寿司に伊勢うどん、タコ飯や盆汁などの郷土料理も多く、伊勢海老や牡蠣など特産品も多い。日本の中央付近に位置するためか、関西と関東の文化が交わっており、三重県で使われている方言には多くの県の言葉が混じっている。

「これが僕がこれから行く県……」

正直、名前しか知らない県の一つだった。しかし調べていくうちに興味が湧いてくる。三重県は神奈川県とどう違うのか。神奈川県にないものがあるのか。三重県の写真を見るとわくわくする気持ちも桜士の中で生まれてきた。

『次は伊勢中川〜。伊勢中川駅に止まりま〜す』

桜士はキャリーケースを手にする。いよいよ三重県に足を踏み入れるのだ。電車を降りて駅を出た。全く知らない景色が広がっている。

「えっと、社員寮は……」

地図アプリを開いて桜士は寮へと向かった。桜士の会社では、独身者は寮に住むことができるのだ。