「私この洋楽好きなんだあ」

放課後、二人しかいない教室で能天気に彼女は言う。

「そうなんだ。歌詞わかるのか？」

洋楽なんか意味が分からず聞いているやつがほとんどだ。

案の定、彼女もその中の一人だった。

「わからん。」

キッパリと言う彼女のあまりの潔さに思わず吹き出してしまった。

それにムッとしたのか彼女は

「じゃあ、旬はこの歌詞の意味分かるの」

俺に挑戦状を送り付けた。

受けてたとうと、彼女にもう一度その洋楽を流してもらう。

「なんて意味？」

分からないだろうと言うような自慢げな顔をしている。

自分も分からないくせに。

窓から差し込む夕日の光が彼女の顔を照らす。

キラキラしている。

「きれい」

いつの間にか彼女に見とれてしまっていたらしい。

不思議そうに自分の顔を覗き込んでくる。

「ん？綺麗って意味？それは、beautifulでしょ。それなら私でも分かるよ！馬鹿にしてんのか！」

自分が思わず口に出してしまった本音を違う意味で解釈をしてくれて助かったが、彼女の流石のアンポンタンさには呆れてしまった。

「綺麗で可愛くて大好きですって意味！」

アホな彼女のことだ。

これくらい言っても理解できないだろう。

、、、

数秒しても返事がない。

見上げた彼女の顔は夕日の光のせいか、真っ赤に染っていた。