「なんで、あなた達がここにいるんですか……」




玄関の扉を開けて姿を現したのは私の両親だった。




「良かった、ここにいたのね……杏」




「久しぶりだな、元気してたか?」




「……っ」




なんでここにいるのよ……っ私はこの人達が"大っ嫌い"なのに……っ




綺麗にセットされた髪の毛。高級そうな服。




どれもこれも全く昔と変わっていない。




私の家は両親と兄と私の四人家族だった。




一見仲睦まじい家族に周りからは見えていたかもしれない。でもそれはまるっきり外見だけ。




両親はお金が大好きで私達はおもちゃみたいなものだった。




お金お金で、愛情なんて貰った事は一度もない。




お兄ちゃんはそんな両親に嫌気が差したのかはたまた私が嫌になったのか理由はわからないがどこかに消えていってしまった。




それから両親はギャンブルで負けたり機嫌が悪い時は私に当たるようになった。




それで事情を知ったおじいちゃんが引き取ってくれたのだ。



私は最後まで両親からの愛を受けてみたいとずっと願っていた。だが、それは叶わぬ願いとなったのだ。




そんな両親が今、私の目の前にいる。