夏休み終盤、私達はまだまともに会話をしていなかった。




護衛をする時に会話は無用だがなんだか心の距離が空いてしまったような気がしていい気分ではない。




どうやったら元どうりになれるだろうか?




私は詩さんには嫌われたくないっ




その気持ちだけはどんな気持ちよりも大きかった。




「八神様、お客様がお見えになられております」




特にやる事もなくベッドに大の字で寝転がっていると扉越しに神白さんが声をかけてくれる。




お客さん……?私に?




ここは黒金家だから私に来客が来る事なんて滅多にないのだけれど……




「わかりました、すぐ向かいます」





誰であれ、待たせるわけにもいかないので二つ返事で了承した。




寝っ転がっていた体を起こし急足で玄関先に向かう。