外はすっかり蒸し暑くなり過ごしにくくなってきた頃。




ちょうど夏休みという長期の休みに入った。




夏休みとか初めて……




ソヒップは休暇とかなかったしな……




「あの、どうかされましたか?」




あっやばっ




「いえっ大丈夫ですっ」




今いるのは屋敷の中庭。




今日はここで流しそうめんをするのだそう。




とは言っても楽しい感じではなく、大人の交流会みたいなものだ。




こんなに暑いのだから室内でやればいいのにと思ったのだが、ここの中庭には涼しく快適に過ごすためのものが常備されているらしくその心配は無用のようだ。




もちろん、詩さんもこの会には出席するから必然的に私も出席する。




今日の会は結構大々的に行われる為、黒金家の使用人総出で準備に取り掛かっている。




神白さんも「坊ちゃんの所にいたら怒られてしまいまして……」と困ったようにしながら私達の手伝いをしてくれている。



あの日、ちひろさん達とパンケーキを食べに行った時の帰り道の詩さんはいつもと様子が違った。




それから私達はまともに会話をしていない。




元々口数は少ない人だったが、なんだか今までとは違うようなそんな気がしていた。




頭の中ではずっと詩さんのあの苦しそうに歪めた顔がこびりついて離れない。




私が何かしてしまったんだろうか……




そう思うとつい手が止まってしまい「ちょっと手止まってるっ」とベテランの使用人さんに怒られてしまい無理やり頭から飛ばした。