今すぐにでもこの腕を解いてちひろさんにまたねと言いに行きたかったが、無理そうだ。




仕方ない、また学校に行った時に謝ろう。と思っていると誰かが詩さんの事を呼び止めた。





「詩、そんな事したらその子死んじゃうでしょ……」





私達の目の前に立ち、眉の端を下げながら笑う男の人。




うわーこの人も綺麗な顔……




私は詩さんを日頃から目にしている私から見ても綺麗な顔だと思うほど。




綺麗な目。




少し染めているのか、明るめの髪。




そして高身長。




全てのスペックが彼を引き立てている。




「うっせ、お前には関係ない」




詩さんと男の人は面識があるのか、鬱陶しそうにしていた。




詩さんが喋るなんてよっぽどの人なのだろうか?




いつも無口で感情など表に出さない詩さんが普通に話す相手。多分結構なすごい人。





「だから、今のままだとその子死んじゃうでしょって」




さっきと変わらず困ったように眉の端を下げる男の人に気を取られているのか、詩さんのスリーパーホールドが緩んだ。




その隙に投げようかとも思ったのだが、後で怒られそうだったのですり抜けるだけにしておいた。