「まじかーやっぱ俺は粒あん派かなー」




「粒あんって美味しいんですか?」




「めっちゃ美味しいよっ」




どれくらい話していただろう。いつの間にかすごい話が盛り上がって結構話し込んでしまっていた。




そういえば、詩さんどこ行っちゃったんだろう?




さっきから詩さんの姿が見えない。




どこ行っちゃったんだろう?と思っていると急に後ろから重みを感じた。




「おとと……」




後ろから私の身体を包み込むような温もりが伝わってきて後ろを振り向くと詩さんが私の首を絞めるような形でスリーパーホールドをしていた。




あれっ詩さんいた!ってか、何この状況……





詩さんは見つかったが、全くそれを喜べない状況下に私は置かれているような気がする。




「おい、お前杏に何した」




急に詩さんが低い声を更に低くし、ちひろさんにそう言った。




私は耳元から低い声が聞こえてきて私に言われているわけじゃないのに、びくりっと肩が跳ね上がりそうだった。




「何って?俺は何もしてませんけど、ただ少し話をしていただけです」




低くて覇気のある声に怯む事なく、それよりも反発するような口調のちひろさんにヒヤヒヤする。





「そうかよ」




それだけ言うとチッと舌打ちをして私を半分スリーパーホールドで締めながら歩き出した。




ちちちちょっと待って、首首っ絞まってる……っ




それにまだちひろさんにまたねって言ってないのにー