「いやーめでたいね」



「ほんとほんと!」




私達は片付けが終わり五人で帰り道を歩いていた。





桜の下を歩くのも今日が最後。





そう思うと心がギュッと苦しくなる。




潤さんはまだ目が潤んでいるし詩さんも寂しそうな顔をしていた。




本人はわかっていないのだろうけど。





「じゃあ俺らこっちだから」




「またなー」




「まったねー」




いつもの道で三人と別れ、私と詩さんの二人で歩く。




詩さんと歩くのも今日が最後。そう思うとやっぱり悲しい。




いつも詩さんの後ろを歩いていたからその大きな背中の後ろを歩かなくなると考えるとちょっぴり嫌。




「どした?」




そんな私に気付いたのか後ろを振り向き顔を覗き込んでくる詩さん。




その顔は優しくて、でもいつもどうりの詩さんで。




「詩さんと、こうやって歩けなくなると悲しくて」




一年もなかったけど、ここを一緒に通ったのは変わりない。




「そんな事かよ……」と呟くと詩さんはフッと笑った。




「歩くぐらいいくらでもできるだろ、まぁでも強いて言えばこれからは俺の後ろじゃなくて隣を歩いてもらうけどな」




そう言って私の手を引き歩き出す。




私は釣られるがままに隣を歩く。




隣は後ろとは違い詩さんの横顔が見える。





その顔が少し緩んでいたのは気のせいだろうか。




これからも私はソヒップの任務として詩さんを護衛していくつもりだ。




けど、少しだけ私は"彼女"として詩さんの隣を歩いてもいいのだろうか。




もしそれが私の願望だとしてもきっといつか叶う。




なんてったって詩さんは優しいから。




「詩さん、好きです……」





きっとこの気持ちが変わる事はないだろう。この先もずっと–––




END