私達が準備を終わらせるとバタバタと教師が体育館に入り段取りを確認しだしたので一年は早々に退場した。




式は滞りなく行われその間私達は授業。




「えーここ誰かわかる人ー」




そんな声を聴きながら私は窓の外を見つめる。





前と何一つ変わらないいつもの日常。




こんなにも平和な日があるのかと思うほどで小鳥の囀りが聞こえてきそうなくらい。




あの後聞いた話なのだが、お兄ちゃんは捕まったらしい。




詩さんがあの倉庫に来てくれた時警察にも連絡していたらしく詩さんは正当防衛が認められ、お兄ちゃん達は誘拐の罪で捕まった。




真っ先に飛び込むのではなくその先の事まで考えて行動できる詩さんは本当にすごい。





「杏ーどうかした?」




私がぼーっとしているといつの間にか授業が終わっていたらしく瑠海さんとちひろさんが私の所に来てくれていた。





一二年生のこの授業は三年生の式の時間潰しみたいなもの。




式は一時間程度で終わり、三年生は教室に戻り担任からの話や最後の交流会などを行うらしい。




その間に私達が入れ替わりに体育館の後片付けを開始するのだ。




ほとんど雑用みたいなものだが、今日の主役はあくまでも三年生。だからみんな渋々行っているのだとか。