「そっち行ったぞ!」




「扉開けられるぞ!」




そんな声が聞こえてきた。




ガチャリと扉が開く音と同時に私は頭よりも先に体が動いていた。




お願いだから間に合って……っ




私は扉が開くと同時に瑠海さんの所に飛び込みなんとか瑠海さんにナイフが刺さらないように回避した。




……ッ





瑠海さんを助ける事はできた。




だが、私にナイフが刺さった。





腹部を刺され大量出血。




刺された所から焼けるような痛みが広がっていく。 




いった……




後ろの方からはお兄ちゃんの笑い声が響いている。





そっか、私が絶対瑠海さんを助ける為に飛び込むから私にはナイフを突きつけなかったんだ。




自分の意思で刺されるように仕向けるために。




まんまとハマった罠に悔しく思いながらももう言葉を発する事もできない。




でも、もう死ぬのならそれでもいいと思いった。




もう私は色んな人に迷惑をかけてしまった。だから生きていてもまた迷惑をかけてしまう。





これでいい、これでいいんだ……





そう思い朦朧としてきた意識の中、最後に光の向こうから詩さんが見えた気がした。




詩、さん……?




「ごめんなさい……」