あなたは守られる対象です!?

「おい、それくらいにしてやれ」




私がなんと言おうか悩んでいるとどこからか声が聞こえてきた。




聞き覚えのある懐かしい声。




誰の声?なんだか聞いた事があるような……




誰の声だか思い出せずにいると私のいるソファの隣の扉から姿を現した。




えっ……




「お兄、ちゃん……?」




静かな倉庫に響く私の声はひどく震えていただろう。





だってここにお兄ちゃんがいるから。数年前急に家を飛び出し消息が途絶えていたお兄ちゃんがここにいるから。





「久しぶりだな、杏」




前と変わらない優しい声のはずなのにどこか棘があるような気がして身を縮こめる。




前と随分雰囲気が変わってしまったようだ。





お兄ちゃんはゆっくり私の前に近づいてくる。




それと同時にさっきまで私の前にいた二人組と入れ替わるように私の前で腰を下ろした。




久しぶりにお兄ちゃんに会え、こんな状況なのに少し心が高ぶっている。




「お兄、ちゃ……っ」




お兄ちゃんが私の前に来た時、助けてくれると期待していると鋭い殺気と共にナイフが私の頬をかすめた。




「あれ、外した……」




い、ま何がおきたの……?お兄ちゃんが私を"殺そう"とした……?




目の前にはお兄ちゃんが不敵な笑みを浮かべている。


 
  
「杏とまた会える日を待ち望んでいたんだ」





待っていた?お兄ちゃんから出て行ったのに?





その笑顔は前私に向けてくれていた笑顔とはかけ離れていた。