三月十四日。

「付き合ってください」

俺はある女の子を、雰囲気の良さそうなカフェに誘い、告白した。

すごく緊張して、振られてこの関係が終わってしまったらどうしようとか、振られたら次に会うときどんな顔をすればいいのかとか、とにかく不安の気持ちでいっぱいだった。

でも女の子はOKしてくれて、その瞬間、一気に胸を撫で下ろした。

「今日、絶対告白するって決めてたんだ」

俺が今日告白したことには、意味がある。

「そうなんだ。なんで今日告白したの？」

女の子から不思議そうにそう聞かれ、少し戸惑いそうになった。

「あ、えっと、今日、三月十四日じゃん？」

女の子はこくりと頷いたけど、頭の上にクエスチョンマークが付いてるような様子だった。

「三月十四日、3.14...。円周率」

自分から言ったくせに説明するのが気恥ずかしくてそう言った。

なんとか察してもらおうと思ったけど、それでもまだ理解していないみたいだった。

「その...。三月十四日に付き合った人は、円周率みたいに永遠で居られるらしいから...」

顔が熱いのが分かって、女の子を直視できない。

「すごい、嬉しい...」

女の子は少し照れているようだった。

嬉しいと言ってもらえたことが嬉しくて、俺は幸せに包まれていた。