道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

胸がバクバクと音を立て、鼓動が倍速になり、ラヴィーネはギルドマスターの胸にしがみついた。

「ケガは! 大丈夫か」

「・・・・・・」

「おい!? どこかケガ」

「だ、大丈夫です」

ラヴィーネはギルドマスターに、被せるように答えた。

「少し、驚いただけです。……ありがとうございます」

答えながら、まだ体が震えていたし、胸がバクバクしていた。

「よかった。あなたがケガをしたらと思うと肝が冷えた」

「すみません。トラップを踏んでしまうなんて、迂闊でした」

ラヴィーネはまだ震えが止まらなかった。

「ダンジョン内が今までとは、少し変わっているのかもしれない。マッピングしたデータには、此処にトラップはない」

ギルドマスターはデータを広げ、ライトで照らして見せた。

「たしかに、トラップはありませんね。って、ギルマスはどこもケガしていませんの?」