道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

ラヴィーネは照れ隠しにツンツンしなから、扉を荒々しく開けてギルドを出た。

扉の向こうで「何だ、あの態度は」「クソっむかつく」などと、ラヴィーネへの愚痴が聞こえた。

ーーどう言われても構いませんわ。わたくしは間違っていませんわ。あの方が無茶をなさるのは見ていられませんもの

「あの方が傷つくのは、耐えられませんもの」

ラヴィーネは口に出して呟くと、胸がいっぱいになった。

こみ上げてくる思いを抑えながら、嗚咽が漏れた。

溢れる涙を拭い、涙が溢れないよう夜空を見上げた。

明るい夜だった。

丸く大きく形の良い月が闇を照らしていた。