道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

「小娘が生意気言ってんじゃねえぞ」

「冒険者になって、未だ数年のくせに」

「でも、わたくしS級冒険者ですわ。現役の」

「調子こいてんのか!」

ギルドマスターは冒険者たちに揉みくちゃにされるラヴィーネを おい被さるように抱きこんだ。

「ラヴィーネさん。あなたという人は……」

「ギルマス、どいてくれ、我慢ならねぇ」

冒険者たちは、ラヴィーネを抱えこみ、懸命に庇おうとするギルドマスターを怪訝そうにみつめながら、それぞれに怒鳴った。

「若い娘さんを大の男たちが、寄って集って見苦しいですよ。言われて腹が立つのは、図星だからでしょう?」

「はぁ?」

「実を言うと、わたしも多いにムカつきます。でも事実です。わたしのスキルは今回、通用しませんでした」

ラヴィーネを腕に抱えたまま、ギルドマスターは冷静だった。