道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

「わたくしだって賭けみたいなものでしたわ。『冥府の扉』は初めて使いましたわ。あんなゾンビ呼び出し」

「ゾンビ呼び出し。面白いことを言いますね」

ギルドマスターはアハハッと声を出して笑った。

「笑いごとではありませんわ。もし『冥府の扉』が効かなかったら、どうなさるおつもりでしたの?」

「エッ!? ……」

「まさか、ノープランでしたの!? 信じられませんわ」

ラヴィーネは大きな目をさらに大きく見開いた。

「あなたを信じていましたから」

ギルドマスターは穏やかに微笑んだ。

「ずるいですわ」

ラヴィーネはクルリと身を翻し、ギルドをそそくさと出た。

ダンジョンの異変、何が起きるかわからないと、覚悟を決めて梟が運んできた参加申請書にサインした、ラヴィーネだった。

ラヴィーネはそれを軽々しく「信じていましたから」と言われたことが、許せなかった。