道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

冒険者たちが安堵感とひと息つけたことで場が和み、いつものキルド内でのギスギスした様子にはならなかった。

「とりあえず、26階までの調査を済ませますよ。続きは1日休んで明後日からに。もう、ひと踏ん張りしましょう」

ギルドマスター死神の装束を身に纏ったラヴィーネ共に、先頭に立った。

禍々しい気配は消えたが、淀んだ空気が漂っていた。

1歩また1歩、前に進むごと淀みは強くなった。

ラヴィーネは耳を澄ませた。

「気を引き締めて。……何か来る」

ラヴィーネが言い終わるが早いか、黒い煙のような影が浮かび上がった。

冒険者たちは幾重にも列をなし、じわりじわりと近づいてくる影に、各々の武器を構える。

あるいはスキル発動の詠唱をし始めた。

煙のような影は後ろに空間が見えないほど続いていた。

「何ですの!? 影の行進……」

「ラヴィーネさん! 下がって」