道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません

「弱ったな。それは言いっこなしだ。君だって集合時間に来なかっただろ」

冒険者たちは、ギルドマスターと死神のやり取りを目を白黒させながら眺めた。

冒険者『死神』の姿、その体格と声、話し方が明らかに自分たちのイメージしている冒険者とは丸っきり釣り合わない。

巨大な鎌と髑髏、黒衣は紛れもなく冒険者『死神』だ。


なのに、体格と声と話し方から連想する人物は、彼らのよく知る者だった。

ギルド内で普段から見聞きしている掛け合いに、冒険者たちは唖然とした。

「ウソだろ!? 『死神』がまさか……」

「いや、そんなはずは有り得ない」

「あの『死神』が……」

冒険者たちは互いに顔を見合せた。

「『死神』がわたくしでは不服ですの?」

冒険者たちの顔に落胆の色が浮かんだ。

「『死神』の正体がまさか道具屋の小娘だったとは」

「期待して損したぜ」

「失礼ですわ。わたくし、あなた方のお荷物にはなりませんわ」